山林の売買についてはどうするのか、
今回の記事はあなたが山や林などの不動産を売却検討中であれば、
どんな方法と手順で売却できるのか?お伝えしていきましょう!
一般的に不動産の売買と言えば、
住居を立てるための土地やそこに立てる家屋、
あるいはインカムゲインを得るためのアパートや、
マンションの購入などをイメージしますね。
ではドライブやハイキングなどで訪れる山林は売買されることはないのでしょうか?
一口に山林といっても、
その存する地域や面積などによって実情は異なりますが、
売買取引の対象として山林も小規模ながらマーケットを築いています。
もちろん市街地にある不動産よりは取引は活発ではありませんが、
一定の需要があるので売買取引することは可能となっています。
お金さえ出せば買うことはそれほど苦労しないでしょうが、
問題はあなたが山林を売る立場になった場合です。
山林は使用用途が限られるので買い手がつきにくい面は否めません。
マーケットが狭いこともあり、
売買取引を扱える不動産業者も限られるので市街地の不動産のように、
スムーズな取引は難しいことは覚悟しておかなければならないでしょう。
また山林特有の扱いが必要な面もあります。
今回は他の土地とは扱いが異なってくる山林の売買について見ていきましょう。
山林は農地と違って売買に許可は要らない
たまに勘違いされるのが、
「山林の売買には役所の許可が必要なのでは?」
というものです。
確かにわが国では農地の売却には原則として役所の許可が必要になります。
農地も山林も土地上に植物などを栽培、保有する点では同じですが、
農地というのは国民の主要な食料となる穀物やその他食物が栽培されます。
国民への食糧供給という観点から考えてみましょう。
農地の売買取引を自由に認めると、米や食料の生産供給と需要のバランスが崩れてしまい、
国全体としてもよろしくないということで、
自由な売買取引に一定の規制をかけているわけです。
例えば農地の売買が繰り返され、
だれも農業をやらなくなったらコメの生産が0になってしまうこともあり得ます。
こうした弊害を防ぐための措置ですが、山林も僅かな果樹などはあるものの、
国民の食糧供給というまでの規模になることはないので、
売買取引による弊害も考えられないので役所の許可は基本的に不要となっています。
ただし、
樹木を保有する山林ですので土地そのものだけでなく、
樹木の価値にも目を向けることができる点が違います。
山ごと売るか、樹木だけ売るか?
山林の売却を考える場合、
事前にある程度考えておかなければならないのが樹木を含めて山ごと売るか、
それとも土地は売らずにそこに育成する樹木を売却対象にするかということです。
樹木にはそれだけで一定の価値がありますから、
樹木だけを売ることも可能です。
もちろん樹木の種類や状態によっても違いますが、
木材として需要がある場合などは、
対象の樹木だけを売却対象とすることができます。
土地さえ保有していれば、
年月をかけて繰り返し育成される樹木を継続して販売することにより、
インカムゲインを得られます。
大家業のようなイメージを持たれるかも知れませんが、
実際はかなり異なります。
いわゆる林業として、樹木の伐採、
運搬など多くの時間、費用、労力が必要な事業となるので、
こちら関係の実務知識や伝手がある場合でなければならないため、
素人には実際のところ難しいと言えます。
また樹木の育成には年月が必要ですから、
相当の期間をシミュレーションして費用と収入のバランスで、
不備が出ないように綿密な計画も必要です。
この問題をクリアできれば樹木だけの売却も視野に入りますが、
多くの場合は山ごと全部売ることになるでしょう。
ではそういった相談も含めて山林の売却はどこに相談すれば良いのでしょうか。
一般の不動産業者では対応できないこともある
山林という土地は地理的な問題と、
需要とのマッチングが難しい側面があるため、
一般の不動産業者では対応ができないこともあります。
山林所有者であるあなたが取るべき選択肢としては4つ考えられます。
1つ目は他の不動産と同じように一括査定サイトを利用して、
売却仲介を依頼できそうな業者を探す方法です。
そのサイトに登録している業者で対応できるところがあれば手を挙げてくれるでしょう。
不動産売買業者を一括査定ができるスマイスターを使えば、
手っ取り早く山や林を売る不動案会社が見つかりますので一番楽でオススメです。
2つ目はその山林が存するエリアや近隣にある不動産業者との個別対応です。
地元業者であれば山林を欲しがっている見込み客の情報を掴んでいることもありますし、
山林取引の経験値も期待できるので相場観を読むこともできる可能性が高まります。
地元の小さい業者は一括査定サイトなどには登録していないこともあるので、
こうした業者とは個別対応で相談する必要があります。
3つ目は森林組合への相談です。
地元の森林組合も山林を欲しがっている見込み客から相談を受けることが多いので、
豊富な情報を持っています。
全国全ての組合が積極的に動いてくれるかどうかは分かりませんが、
組合の仕事の一環として売買取引をあっせんしてくれる場合もあります。
情報の提供だけか、
あっせんまでしてくれるかは個別に聞いてみる必要があるので、
売却対象予定地の地元の組合にコンタクトをとってみることをお勧めします。
4つ目は「山林バンク」という珍しいマッチングサイトがあります。
一般の土地建物ではなく山林に特化した売買マッチングサービスを提供していますので、
こちらにも同時並行で相談しておくと良いかもしれません。
仲介業者の手数料について
普通不動産の売却を業者に依頼すると、
成功報酬として仲介手数料がかかります。
この手数料は法律で上限値が決まっているのでそれ以上は請求されませんが、
それ以内であれば値下げ交渉なども可能となっています。
ただし山林の場合この上限値を定める法律
(宅地建物取引業法)が適用にならなくなることもあります。
その山林が建物を建築する目的でなく、
今現状としても建物が建っていない場合は同法の適用対象から外れるため、
上限値の規制もなくなります。
この場合取引仲介の手数料は全くの交渉ベースとなりますので、
相場観を掴むのが難しいため依頼者は若干不利になってしまう恐れもあります。
しかし元来売却が難しい山林を扱ってくれるわけですので、
強気の態度で値下げを要求するのは控えた方が無難です。
選択肢として複数業者がある場合は、
比較考量することもできるので不利さ加減は若干狭めることもできるでしょう。
もし同法の適用があり上限値がある場合は、
売却金額を3つに分けて、それぞれに対応する手数料を算出し、
これを合算する方法をとります。
200万円以上(税抜)~400万円以下の部分には4.4%
400万円以上(税抜)の部分には3.3%
上記の計算の上、それらを合算した額が手数料の上限値となります。
ここから値下げ交渉は可能ですが、
手数料報酬は業者の糧ですのでやる気を削ぐこととなってしまい、
売却の成功率を下げることになりかねないので控えた方が無難です。
山林の値段はどれくらい?
一般の土地もその存する地域や、
使いやすさなどによって取引価格はまちまちですが、
山林の土地はそれ以上に価格差がでやすくなります。
まさにピンキリといえますが、
一口に山林といっても国内には価値のあるものと価値がほとんどないものの両方存在します。
価値があるというのはつまり需要がある土地ということですが、
例えば業者が買い取って開発し、莫大な付加価値を付けて転売する、
あるいはその土地を使ってレジャー施設を運営するなど
開発や投機目的で使われる素地があれば高値がつくこともあります。
一般的に人里に近い都市近郊にある山林は、
開発の余地があるため比較的高値を期待することができます。
都市から離れた農村周辺の土地は、
都市近郊よりは若干不利ですが、
それでも山林としては比較的有利な取引が期待できます。
これより人里から離れた山林はあまり需要が期待できないので、
取引価格も期待値が下がります。
いわゆる林業が営まれているような地域では、
満足な値がつかないことも予想されます。
またこれを超えて山奥にある地域では、
そもそもの需要がなく買い手がつかないことも予想されます。
この他にも山林の価値を変動させる要因はあります。
山林は広い面積になりますので、
人が分け入って進むことができる林道などが整備されているか、
樹木が健康に生育できるように適度に間伐がなされているかあります。
他にも生育している樹木の種類や品質はどうか、
これを伐採した時に搬入機材が通る道が確保されているかなど、
その山林の価値の高低を決める要素は多くあります。
このように使いやすさや、
開発利用の可能性などの要素、
これらが加わる山林の実際の取引価格は実に幅があります。
同じ面積の土地で数億円の値がつくこともあれば、
数万円の価値しかつかないこともあります。
山林取引の全体像としては、
どうしても売り手側の方が山林土地をもてあましているという面が否めませんので、
買い手側はパワーバランス上優位に立てることから、
買い叩きに合ってしまう可能性が高いのは致し方ない面もあります。
最悪買い手がつかないよりは、
投げ売りでもいいからと、
スズメの涙ほどの値で取引されることも往々にしてあります。
山林も他の土地と同じく、
保有しているだけで固定資産税がかかりますから、
買い取ってくれるだけでも儲けものというケースもあります。
ここらへんは仲介業者の力を頼りに、
できるだけ有利に売り抜けることができるように善処するしかありません。
山林の税金処理の特徴
山林は一般の土地と違って、
税務処理が異なる点にも留意しなければなりません。
この章で上述したように山林の売却には山を丸ごと売るか、
樹木だけを売るかという選択が可能であることをお話しました。
これは山林の土地とは別に、
樹木にも個別の価値が認められるためですが、
このために税務処理も土地と樹木とで扱いが異なってくるのです。
樹木の方は原則として「山林所得」という分類になり
(山林の取得から5年以内の売却であれば事業所得もしくは雑所得となります)、
土地の方は「譲渡所得」という扱いになり、別々の税務処理が必要になってきます。
山を丸ごと売った場合でも樹木と土地は別で計算が必要ですので、
売買契約上も土地と樹木部分を分けて記載するなど工夫すると、
税務処理が楽になります。
山林所得はまず売却金額から必要経費を引きます。
必要経費には植林費などの取得費、
山林取得時の不動産業者への手数料や山林の管理費、下刈費、
伐採費、搬出費、売却の為の業者手数料などを算入できます。
15年以上山林を保有していた場合は概算経費として
「(収入金額-伐採費・譲渡費用)×50%+伐採費・譲渡費用」が使えます。
こうした必要経費を除いた後で、特別控除をさらに引くことができます。
山林所得の特別控除は最大50万円です。
これを引いてもなお残った額が山林所得となります。
そしてその山林所得に対応する税金を計算する計算式が以下です。
「(山林所得の額×5分の1×対応税率)×5」
となります。対応税率はこちらを参考にしてください。
額によっては控除の用意がされています。
土地分の譲渡所得については一般の土地と同じです。
詳しくは別の章で解説していますが、
簡単に説明すると山林所得と同じように、
売却金額から必要経費を引いて正味の儲け額を出します。
これが課税譲渡所得金額となり、
これに税率をかけて税額を算出します。
税率は山林の所有期間が5年を超える場合は20%、
5年以内の場合は39%となります。
以上が山林の売却をする方法になります。
山林を売却するには複数の業者に査定してもらおう
あなたが今自分の土地を何らかの理由で売るという事であれば、
やはり一番確実なのは複数の不動産会社に査定してもらう事です。
1社2社違うだけでも数百万円単位で値段が変わり、
他ではもっと高値で売れるのに安くなるなど、機会損失になる場合があります。
やるやらないは抜きにしてとりあえず見ておきましょう。
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