もし転勤が決まった時に家を売る方法とは?

家を売りたい

若い単身者の方であればさほど気にせずにいられるかもしれませんが、転勤とは本来人の人生を左右するくらい大変なことです。

住む場所が変わる、生活の本拠が変わるということはそれまでの生活環境を全て引き払ってしまうということです。

人間関係や慣れ親しんだ場所、かかりつけの医療機関など全てを清算するのは普通に考えて大事です。

これがご家族を持つ妻帯者などである場合は人を巻き込むわけですから一大事です。

そして一家の生活の拠点として購入した家に住んでいる場合は転勤命令を受けた時に顔が青ざめることでしょう。

「せっかく買った家、どうなるんだ・・?」と。

転勤と家の売却は個別のケースで取り巻く状況が違ってくるのでとても難しいテーマですが、今回は転勤が決まった時に家を売る方法について考えてみます。

まずは一般的な家の売却の流れを簡単に整理し、そこに転勤というファクターが絡むことによってどんな支障が出るのか考えてみます。

家の売却の流れを整理

家の売却の流れをざっと確認してみます。

まずは一括査定サイトで複数の業者に見積もりのための査定依頼を出します。

手を挙げた業者の中から実績や信頼性を考慮して、訪問査定を依頼する業者を選別します。

さらにそれらの業者をふるいにかけ、実際に売却仲介を依頼する業者を一社選定し仲介契約(媒介契約)を結びます。

ここから仲介の実務に入り、広告宣伝を行って買い手候補からのコンタクトを待ちます。

希望者には内見案内を行い、気に入った購入希望者とは価格交渉や条件交渉に入り、交渉がまとまったら売買契約を締結し、物件の引き渡しと残金の受領、登記などを行います。

仲介契約を結ぶ業者の選定に数週間、仲介の実務開始から買い手がつき売買契約が締結されるまで最低でも3か月は見積もりますが、場合によっては買い手がつかずもっと期間が延びることもあります。

さて、この流れを踏まえて転勤というファクターが絡むとどうなるのかですが、次の項で整理しなければならない点を確認してみます。

持ち家があるのに転勤が決まってしまった時に整理すべき点は
個別のケースで状況が違ってくるとお話しましたが、取り巻く状況は本当に人それぞれです。

どんな点が家の売却に影響してくるのかを列挙してみましょう。

①転勤はいつからか?

転勤命令は会社が決定する事なのでいつの時点で出されるか分かりません。

家の売却には最低でも3か月以上の期間を見積もる必要があるので、ギリギリに命令が出されるとかなり急がなければならなくなります。

売り急ぐための売却金額の設定なども必要ですので、通常の場合以上に素早く行動・決断しなければなりません。

すぐさま不動産業者に査定依頼を出す必要があります。個別業者を訪ねている余裕はありませんから一括査定サイトを利用しましょう。

もし可能であれば急な転勤辞令とならないように会社にお願いし、「持ち家があるので転勤があるのであれば早めに教えてほしい」とお願いしておきましょう。

②またその場に戻ってくる可能性はあるのか?それはいつごろか?

転勤族の方であれば転勤と言えばもうそこには戻ってこない長期転勤となることが普通かもしれませんが、転勤族ではない方でも例えば技術職の方などは支社移転として応援に向かったり、技術伝達や人材育成の為に派遣されることも珍しくありません。

短期転勤でまた戻ってくることが確約されていれば売らずに保有しておくか、期限付きで賃貸に出すことも可能ですが、長期になる場合はまた戻ってくれる可能性を考えることも必要でしょう。

もう戻ってこないのであれば売るか賃貸に出すかですが、素人の方であれば売り一択で間違いないと思います。

その場合は上記のとおり可能な限り急いで行動しなければなりません。

③住宅ローンは残っているのか?

今の持ち家を売るとしても、もし住宅ローンが残ったままだと売ることはできません。

ローンが残る間は抵当権が付着したままの物件ですから、そのまま売りに出しても誰も買ってくれないのです。

ローンの残高を確認し、完済の難易度を判定しましょう。

手持ちの資金で完済できそうであれば繰り上げ返済を行って完済することができます。

ローンの残高が大きく手持ち資金では完済が無理な場合は家の売却代金からローンの完済費用を捻出しなければなりません。

家の売却代金でローンの決済をする場合は現地に立ち会う必要があるので、売却が早く決まらずに転勤が先行してしまった場合は色々大変なことになります。

通常、家の売却代金でローンを決済する場合、同日に売り手と買い手、不動産業者、提携する司法書士と銀行のローン担当者が午前中に銀行で一堂に会します。

売買代金は二回に分けて受領することが多く、立会日に残額を銀行振り込みで受領します。

買い手の口座に入金された代金から、すぐさまローン残高が引き落とされます。

これを確認して、所有権移転登記に必要な書類などが司法書士に渡され登記がなされます。

カギなど必要物の引き渡しも同日に行い、引渡し確認票などで双方が間違いの無いように確認します。

こういった実務に立ち会えない場合は委任状を使って代理人を立てるなどの工夫が必要ですが、色々問題もあるのでできれば避けたいところです(後述します)。

④転勤先ではアパートか、新居を買うのか?

再転勤や元の職場に戻る可能性などを考慮して、転勤先ではどのような住まいを持つのか決めなければなりません。

アパートや賃貸マンションなどで様子を見るのか、子どもがいるので一軒家の方がいいのかを考える必要が出てくるでしょう。

賃貸物件で済む場合はいいのですが、持ち家でないと不具合がある場合は新居の購入のことも考えなければなりません。

マンションにするのか一軒家にするのかといったこともありますが、新居の購入先にある有望な不動産業者を探して物件探しをお願いしなければならないでしょう。

新居購入の場合、不動産業者が売り主になる物件であればそれほどでもありませんが、売り主が個人の場合はなにかとやっかいです。

その売り手の事情も絡んでくるので購入契約や引渡しがこちらの都合に合わせてくれることが見込めないことが多いからです。

⑤旧住居と転勤先の住居確保に動く業者の選定はどうする?

転勤先で賃貸物件を探すにしても新居を購入するにしても、問題となるのは物件探しを依頼する業者の選定です。

転勤先で賃貸物件を利用する場合はまだ良いとして、新居を購入する場合は問題が生じやすくなります。

旧住居の売却に動いてくれる業者が大手で転勤先にも支店がある場合、旧住居の売却と転勤先の住所確保両方で動いてくれますが、そうでない場合は売り方面と買い方面の実務は別々の業者がそれぞれの思惑で動くことになります。

売りと買いの業者が違うことで問題が起きやすいケースとして、新居の購入資金に旧住居の売却代金を当てることを予定している場合が挙げられます。

この場合旧住居が確実に売れなければ新居の購入資金が確保できません。

売りと買いで同じ業者が動く場合は連携できますが、他社の場合は何時ごろ売れそうか、どれくらいで売れそうかなどの展望や試算が共有できません。

「連携してお願いしますね」などとお願いすることはできますが、あくまでお願いベースであり、業者同士が仲良くしなければならない筋合いはありません。

住居の買い替えとなるこのようなケースでは引越しの算段やタイミングが難しいため、先に新居を購入してから旧住居を売却するのか(買い先行)、旧住居を売ってから新居を購入するのか(売り先行)といった問題を解決しなければなりません。

売り先行では資金を確保できるので安全面では優位ですが、新居購入は早い者勝ちであるので有望な物件は先取されてしまいます。

買い先行では有望な物件は確保できますが、もし旧住居が売れない場合は資金確保がとん挫することになります。

その場合の法的手当てとして、契約上「買い替え特約」を付して臨むことができます。

しかしこれは、もし旧住居が売れなかった場合は新居の購入契約を白紙に戻すという圧倒的に買い手有利の条項です。

売り主が業者であればまだ良いですが、個人の場合は向こうの都合もあるのでこの条項を拒否されることもあります。

もし条項を契約に入れることができても、他の項目で譲歩を迫られることもあります。

売り方面と買い方面の業者が同じであれば、「売れなければ買ってもらえない」ため必死に売却に動いてくれますが他業者であれば所詮は他人事です。

同じ業者であればこういった問題は生じませんが他業者の場合は問題になることがあるのです。

⑥新居の購入にローンを使うのか

転勤先で新居を購入する場合、そのための住宅ローンを新たに設定するのかどうかも問題になります。

旧住宅の売却代金を資金に活用できますが、それでカバーできない場合は新居購入に新たなローンの設定が必要になることもあるでしょう。

もし旧住居が売れない場合は二重ローンに苦しむことになりかねませんので注意が必要です。

また旧住居のローンが売却代金でもカバーできないオーバーローンのため旧住宅のローンが完済できない場合は買い替えローンの利用を検討することもできますが、これは旧住宅のローン提供機関でなければ設定できません。

もし審査に通っても結局はローン負担の積み増しですから返済計画は綿密に行わなければならず、転勤期日によっては十分な検討が難しくなることもあるでしょう。

⑦海外転勤の場合

もし海外への転勤だった場合は国内転勤よりも難易度が上がります。

赴任前に確実に売り抜けたいところですが、希望通りにいかないのが不動産売却の難しいところです。

もし売却成功前に転勤しなければならない場合でも、売却活動自体は不動産業者が行ってくれます。

しかしいざ買い手が見つかり売買契約を結ぶとなった場合が大変です。

法律上の効果が発生する署名押印は本人が行わなければならないからです。

一旦帰国して契約書に署名押印する方法が取れない場合、一つの方法として契約書を郵送してそれぞれの関係者が署名押印しあう方法があります。

しかし偽造変造のリスクも伴うため拒否されることもあります。

もう一つの方法は代理人を立てて契約を行うものです。

委任状を作成して家の売却についての代理人権限を付与し、当該代理人に契約を実行してもらう方法です。

この時注意が必要なのが委任状の作成の仕方です。

委任項目は家の売却に関する最小限の項目を列挙して、代理人の権限が大きくならないように配慮しなければなりません。

心配な場合は不動産業者よりも行政書士などの専門家に作成を依頼しても良いでしょう。

とはいえ、代理人は必ず親族やごく親しい友人など信頼性が確実な者にしなければなりませんし、その場合でも代理人の行為は本人の責任となるのが原則ですのでリスクはなお内在します。

できれば代理人による契約は避けるのが無難と言えます。

もし実行する場合は白紙委任(代理人の代理権限が事実上無制限になる)だけは絶対に避け、必要最小限の権限記載とし、印鑑証明書を添付して委任行為を証明する必要があります。

さらにこれだけでは相手方の不信感を払しょくしにくいですから、ご自身で電話を一方入れて代理契約について了解を取っておく段取りも必要でしょう。

まとめ!転勤が決まったら家を売るのは難しい問題

今回は転勤に伴う家の売却について見てきましたが、なかなか難しい問題をはらむことがお分かりになられたでしょうか?

以上見てきて一つだけ確実なことは、難易度が高くなる海外転勤や買い替えが必要になるケース、あるいは住宅ローンが絡むケースはもちろんですが、どんなケースでも共通することがあります。

それは、売るならば可能な限り早く売却に動く必要がある、ということです。

転勤する前に売り抜けないと大小さまざまな面倒が自分に振りかかってくることになります。

転勤命令が下りたらすぐに一括査定サイトに査定依頼を出し、同時にご自身を取り巻く状況を整理しましょう。

ローンはどれくらい残っているのか?完済に充てる資金はどこからもってくるのか?転勤先の住居はどうするのか?などを考えます。

一括査定サイトで手を挙げた業者の中に売りと買い両方を任せることができる業者があれば大いに検討してみましょう。

もし同一の業者に任せることができれば、転勤をとりまく不動産売却の心配はぐっと減るはずです。

新潟市では転勤した時に持家を貸すと家賃収入がそこそこ取れる場合も多いので是非弊社に相談してみて下さい!

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