今回の記事はあなたが家や土地を売りたいときに、
不動産の査定をするときは複数の業者で査定するべきなのか?
と言う悩みや疑問にお答えしていきます。
ブランド品や宝飾品をリサイクルショップに売却する時は可能な限り多くお店を回って、
より高額な査定額を提示してくれる所に売りたいですよね。
物品の場合はそのリサイクルショップが直接買い取ってくれるので、
不動産の売却仲介とはちょっと違いますが、
不動産の売却でもやはりできるだけ有利にするためには、
多くの業者で査定をお願いするのが基本です。
今回はなぜ複数の不動産業者に査定をお願いするべきなのか、
これをしないとどんなデメリットがあるのか見てみましょう。
一社にしか査定してもらわないとどうなるか?
例えばあなたが売りたいと考えている一軒家について、
昔から付き合いのある地元の不動産業者A社にだけ査定をお願いしたとしましょう。
おそらくよっぽど朽ち果てた酷い物件でなければ、
市場で売れそうな物件ならば業者としては仲介を断ることはないでしょうから、
査定はもちろん売却の仲介も引き受けてくれるでしょう。
そして最終的に売却は成功するかもしれません。
でももしかしたらこんな一言を漏らすかもしれませんよ?
「いやー一軒家はあまり得意ではなかったんだけど、なんとか売れて良かったよ。」
本来こういうことは顧客には言わないものですが、
長い付き合いが許してしまったのでしょう。
この時あなたは
「えっ得意ではないって!じゃあ得意な別業者にお願いしたらもっと高く、早く売れていたのでは?」
と思うはずです。
その通り、最終的に売却には成功したとしても、
「もっと高く売れていたかもしれない」
という利益を逃してしまったのです。
本来得られるはずなのに逃してしまった利益のことを「逸失利益」ということがありますが
(元々は交通事故事案などの法律用語です)、
不動産売却にあたって複数の業者を天秤にかけないのはまさに逸失利益を生んでいることになります。
次の項ではなぜ逸失利益を生んでしまうのか、
分解して見ていきます。
何故複数の業者に査定を頼まないといけないのか?
逸失利益を生む原因を分解して見てみると、
次のような理由が浮かび上がってきます。
①本当の相場が見えてこない
不動産というのはその価値の判断が難しく、
不安定であるという特性があります。
需要とのバランスや周辺のライバル物件との競合など、
複雑な要素が絡むので判定が難しくなるのです。
ブランド物の買取査定などでも各店で数字にある程度開きが出るのが普通だと思いますが、
不動産の世界はその開きが大きく、
数十万円、数百万円のバラつきがでるのは普通です。
一社の査定しか受けないということは、
その一社の見解しか聞けないので仲介依頼者としてはその数字を信じるしかありません。
ただ先ほどの通り、
不動産の価値判断はスッキリとしたものではないので、
他社の意見も聞いてみるべきです。
もしかしたらもっと高い査定額を提示する業者があるかもしれません。
査定額は買い取り額ではなく、市場で売れそうな目安の数字ですので、
高ければ良いというものでもありませんが、
色々な業者の意見を聞いてみることでその不動産の数字的な価値が集約していきます。
簡単に言えば各社が提示してくる数字の平均が、
本当の市場価値と考えることができるということです。
実際には業者の信用性や得手不得手などの要素も絡むので、
単純に平均すれば良いわけではありませんが、
レンジを広く取って多くの意見を聞き、
その情報を集約することで精度の高い相場感が見えてくるのです。
特定一社だけの数字では相場としては精度が低く、
信頼性の低い査定額になってしまいます。
②経験値が低い業者を排除できない
査定の後はその業者とは、
仲介契約を結んで売却の手続きを依頼することになりますが、
特段の事情がなければどんな物件でも業者は引き受けてくれます。
売却に成功すれば仲介手数料がもらえるので、
断る理由がないからです。
冒頭の事例でも挙げましたが、不動産には土地や建物があり、
建物はさらに一軒家やマンション、
あるいは一棟ものアパートなど複数の種類に分けられます。
不動産業者であればこれら全ての分野に精通し、
経験を多く積んでいるわけではありません。
例えば土地の扱いが得意だけれど、建物の取引はあまり経験がない、
マンションの売却は得意だけれど、一軒家はあまり得意でない、
賃貸物件の仲介は得意だけれど、売却の仲介は不得手だなど、
業者によって得手不得手があり、経験値も異なるのです。
経験がなく得意分野でなければ抱えている見込み客の層も違いますし、
アピールの仕方も異なるので、経験豊富でその分野が得意な業者と比べると、
優位性がだせないのは想像できると思います。
得意度が低い業者に扱われた仲介物件は、
売却額が下がってしまうリスクがあるのはもちろん、
売却が成功するまでの期間が延びてしまうこともあります。
何らかかの事情で資金確保のための現金化を考えている場合には、
その期限までに資金を調達することができなくなってしまう恐れもあります。
業者側はそういった事情は関係ないので、
万一売れなければ謝って仲介契約を更新するか、
別業者を探すかを依頼者に委ねれば良いことです。
売却に成功すれば手数料収入が入りますから特に不都合はないのです。
万一長期間売れ残ってしまった場合は、
「売れ残り物件」のイメージがついてしまうので、
こうなると売却はさらに難しくなります。
値を下げても敬遠されるのが普通ですから、
金額的にもさらに大きな逸失利益を生みます。
このように特定一社だけにしか査定を頼まないことは全く良いことがありません。
もしかしたら特別なつながりのある、
昔お世話になった業者さんが地元にいて、
その人の付き合いを大切にしたいなどという理由も考えられなくはないです。
ですがそのために有利な売却の可能性を捨ててしまうのは、
非常にもったいないのではないでしょうか?
売却を有利に進めたいならば複数見積もりは絶対に必要ですので、
次の項では具体的にどんなメリットがあるのか見てみましょう。
複数業者に査定を依頼することでどんなメリットがあるのか?
①業者へのアプローチが楽々
複数の不動産業者に査定を依頼するのはもはや常識ですので、
ネット上ではそれを前提にしたサービスが登場しています。
不動産の一括査定サイトというもので、
不動産の売却はこのサービスを用いるのが常道となっています。
一括査定サイトは画面上で物件の基本情報を入力するだけです。
複数の業者がこの情報を見て、
簡単な査定額を提示してくれます。
売却仲介が可能な複数社が手を挙げてくれるので、
相手からのアプローチを待つだけです。
一社一社足で業者を訪問して事情を説明していたのでは、何日かかるか分かりませんが、
この方法ならば一度の情報入力で、
複数の業者に一気にアピールすることができるので手間がありません。
レスポンスも早く、
数日以内には続々と各社から査定額が提示されてきます。
②不要な業者を除外できる
最初に提示される査定額は机上査定というもので、
物件の基本情報から割り出した精度の低い査定額です。
机上査定を受けた業者の中から良さそうな業者を複数に絞って、
訪問査定という精度の高い査定を受けることになります。
机上査定の額が低い会社はあまりその種類の物件について得意ではないのかもしれませんし、
逆に高すぎる会社は正確な価値判断ができていないか、
依頼者の興味を引き付けるために高額な数字を提示しているのかもしれません。
怪しそうな業者はこの時点で除外し次の訪問査定に進むことができます。
③正しい相場観を掴める
複数の業者から訪問査定を受けると、
いよいよその物件の本当の価値が見えてきます。
実際に建物内部などを目視で確認するので、
詳しい事情が分かるため信頼性の高い査定にすることができます。
この高精度の査定を複数社から出してもらい、
これを集約、
平均することで本当の相場感を掴むことができるでしょう。
基本的に訪問査定を受けることになる業者は、その他の業者から選抜して選ばれているので
信頼性の面では安心度は上がっていますが、
それでも最終的な契約欲しさから訪問査定額を高く設定する業者もいるかもしれません。
ですからここでもやはり各社の数字を見比べて、
突出して高い額である場合は注意を要することは覚えてきましょう。
訪問査定では実際に担当者が訪れますから、
他社の査定や会話で得られた情報などを別の業者に投げかけてみると、
また違った情報が手に入ることもあります。
「A社はこんなに高い査定を出してくれたけど何故だと思う?」
などと聞いてみると面白い見解が聞けるかもしれませんよ。
④相性の良い担当者を探せる
不動産の売却に動いてくれるのは現場の担当者ですから、
誰に頼むのかは重要です。
訪問査定を受ける時には実際に顔を見て話をしますから、
相性や信頼性を見極めることができます。
これまでの取引実績や周辺物件の情報などを聞き出そうとして、
何かたどたどしかったり、面倒くさそうな態度が見えるようであれば、
敬遠した方が良いかもしれません。
相手が一社だけの場合、
相性に問題があっても選択肢がありませんから、
スムーズな意思疎通ができないことにもなりかねません。
また売却がスムースにいかないと、
わだかまりや鬱憤から喧嘩になってしまうかもしれませんね。
担当者にもそれぞれ特性があるので自分と相性がよく、
連絡もまめにしてくれそうな誠実な担当者を選び出すことができます。
⑤他の有効利用法を提案してもらえるかも
完全に売却一択で進める場合は別ですが、
中にはその利用をどうしようか悩んで、
取りあえず売却の査定を受けてみるというケースもよくあります。
相続で承継した不動産などの場合は特にそうですが、
土地やマンションの場合、賃貸に出したり、
土地信託や事業受託などの方法で収益を上げられる可能性もあります。
不動産の種類によっては、
有効な利用法を提案してもらえることもあるかもしれませんが、
複数業者が査定に参加してくれるとその機会も増えるでしょう。
一軒家の場合は賃貸は比較的難しいですが、
取り壊して土地をどうにかして利用する方法もあります。
等価交換といって土地の一部を手放す代わりに、
その上に建てる建築物の一部の所有権をもらい、
そこから収益を上げるという方法もあります。
ここら辺は大手の業者が相手になりますが、
話を聞いてみる価値はあると思います。
また直接買取の提案をしてくる業者もあるかもしれません。
通常は直接買取は市場価値より低い額で買われてしまうので選択肢にはなりませんが、
万一売れ残ってしまったり、
期限までにどうしても現金が欲しいなどの事情がある場合は検討対象になります。
広い選択肢を持っておくことで対応の幅を広く持っておければ安心ですね。
まとめ
さて色々と考察してきましたが、結論としては、
不動産の売却では複数業者に査定をお願いすることにデメリットはありませんし、
メリットだらけですから選択の余地はありません。
特定一社だけにしか頼まないことは、
売却までの期間をいたずらに伸ばすことにつながりますし、
第一売却金額の面でも逸失利益を生む危険をはらんでいます。
不動産の一括査定サイトは利用者は無料で利用できるので出費もありません。
家に居ながらにしてパソコンで複数業者にアピールできますから、
とりあえず気軽に応募してみて下さい。
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